建物の外壁の見た目を印象付ける要素の一つは、「艶」です。明るく輝く外壁と、落ち着いた雰囲気の外壁、その違いは実は塗料によって生じます。
ここでは、「艶有り塗料」と「艶消し塗料(マット仕上げ)」について詳しく解説します。
外壁の艶の度合いは、塗料の成分だけでなく、実は目に入ってくる光の量によって決まります。
外壁から直接反射する光が多ければ、外壁は光って見えます。逆に、光が乱反射し、目に入ってくる光の量が減れば、艶はなくなります。つまり、目に入ってくる光の量とその強さが、外壁の艶の度合いを左右します。
多くの塗料は、自然に艶を出す性質があります。そのため、艶消し塗料は、本来の塗料に艶を調整する添加物を混ぜて作られます。この添加物によって塗膜に微細な凹凸が生じ、光の乱反射を引き起こし、艶を抑えるのです。
塗装業者は、艶の度合いによって、「艶消し(マット仕上げ)」「3分艶」「5分艶」「7分艶」「艶有り」という表現を用います。ただし、艶消し塗料は添加物を使用しているため、塗料の強度が低下し、塗膜の劣化が艶有り塗料に比べて早くなることが知られています。
艶有り塗料の利点は、新築のような輝きを出すことができ、サイディングの凹凸を強調し美しさを際立たせます。また、添加剤を混ぜていないため、塗料の本来の強度を発揮します。一方、塗膜の耐久性が10年程度でありながら、艶が早めに失われるという短所があります。
艶消し塗料の利点は、高級感を出し、日本風の邸宅や意匠性のある外壁の美しさを引き立てます。しかし、添加物を使用して艶を調整しているため、耐久性が下がることがあります。また、汚れが付着しやすいという問題もあります。
塗料の選択は、あなたが何を最優先に考えるかによります。もし機能性を重視するのであれば、塗料の本来の強度を最大限に活かせる「艶有り塗料」がお勧めです。
一方、見た目を重視するのであれば、あなたの好みを尊重して選ぶべきです。ただし、単にイメージで選ぶだけでなく、実際の塗料で塗られた見本を見ることをお勧めします。そのためには施工業者に依頼してみてください。塗り板見本を見れば、「艶有りよりも少し艶を抑えた方がよいかも」「艶無しでは物足りなさを感じるかも」といった感じ方が変わるかもしれません。また、日陰と日向での印象の違いも確認してみてください。
艶の度合いをあなたの希望通りにするためには、施工業者との認識のズレをなくすことが重要です。施工現場を案内してくれる、サンプルを屋外で一緒に確認するなど、真剣に取り組んでくれる業者を選びましょう。
添加物を含む塗料は、一般的な塗料よりも扱いが難しくなります。均一な膜を作る技術はもちろん、塗料の管理を怠らず、艶引け(光沢がうまく出ない)やかぶり(塗装面が白くなる)が起こらないように施工スケジュールをしっかり管理することが求められます。
じっくりと業者と共に塗料を選び、希望通りの外壁を実現しましょう。