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塗料深掘り:樹脂の種類と原料について

塗料の科学は毎年進歩を遂げています。
塗装業者との初期打ち合わせで特定の塗料を推奨されたとしても、それが必ずしも最良の選択肢とは限りません。
理解すべき重要なポイントは、塗料の基本的な性質を知り、自分自身のニーズに対応する最適な塗料を選択することで、
納得の行く塗装工事を実現するということです。

塗料の種類を理解するための鍵:樹脂の違い

塗料は主に以下の4つの成分から成り立っています。

・色を作り出す顔料
・塗膜を形成する合成樹脂
・塗料の性能を向上させるための添加剤
・粘度を調整し塗膜乾燥時に揮発する溶剤

これらの成分の中で、「合成樹脂」の選択は、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの塗料の種類を決定します。
アクリル合成樹脂を含む塗料はアクリル塗料、ウレタン合成樹脂を含む塗料はウレタン塗料と呼ばれます。
近年では、耐久性とコスト効果をバランス良く兼ね備えたシリコン樹脂を含むシリコン塗料、フッ素樹脂を含むフッ素塗料が主流となっています。

耐久性を求める選択:「フッ素樹脂」

フッ素はフッ素配合の歯磨き粉やフッ素コーティングのフライパンなど、私たちの日常生活において馴染みのある存在です。
フッ素は蛍石という珍しい鉱石を原料とし、その特性は長年の研究を経て開発されたフッ素樹脂に取り込まれています。

フッ素樹脂の主要な特性としては、200度以上の融点を持ち、樹脂の中でも最高クラスの耐熱性があること、強固な原子間結合により摩擦に強いこと、
長時間の屋外使用にも関わらず性能が低下しない優れた耐候性を持つこと、そして物質が付きにくい非粘着性を持つことが挙げられます。
(例えば、フッ素加工のフライパンの表面を思い出してみてください!)
また、薬品耐性、難燃性、絶縁性などの特性もあり、フッ素樹脂は過酷な環境に強いという理由から、多様な分野で利用されています。

フッ素塗料にはこれらの特性を持つフッ素樹脂が含まれています。
その結果、色と光沢の持続性、汚れの付着防止、防藻・防カビ性、塩害や酸性雨への耐性といった、優れた耐久性を持つ塗料となっています。

知っておくべき「無機塗料」

樹脂を基にした塗料を「有機塗料」と呼ぶ一方で、鉱物やガラスなどの無機物(炭素を含まないもの)を基にした塗料を「無機塗料」と呼びます。
有機物は時間経過とともに劣化しますので、有機塗料の経年劣化は避けられません。

それに対して、無機物は基本的に永久的な存在で、したがって、無機塗料は劣化に対する耐性が非常に高いと言えます。
ただし、完全に無機物だけで塗料を作ることは不可能であり、無機塗料にも有機物成分が含まれています。

それが完全に劣化しないわけではありませんが、それでも無機物の耐久性が活かされた塗料といえるでしょう。

無機塗料の主な特性には、雨や紫外線への耐性、カビやコケの抑制力、表面の汚れを雨水で洗い流せる特性、静電気が発生しにくくホコリなどを
寄せ付けにくい特性、そして有機塗料と比べて燃えにくいという特性があります。

打ち合わせ時に、「シリコン塗料やフッ素塗料よりも耐久性が高い」として無機塗料を推奨する業者もいるかもしれません。
無機塗料は優れた塗料ではありますが、その有機物の含有量が一律に定められているわけではないため、品質にはばらつきがあります。
疑問がある場合には、どのメーカーの製品か尋ねてみることもよいでしょう。

塗料の選択は工事の満足度に直結します。
適切な知識を身につけ、信頼できる業者を選び、質問をしたり、不安な点を伝えたりしながら進めることが重要です。
それにより、最終的に納得のいく結果を得ることができるでしょう。