日本の住宅は新築から30年程度で壊されています。しかし、欧米の住宅は60年から70年、イギリスでは80年以上も住まわれています。
この寿命の違いは、住宅の建設とメンテナンスに対するアプローチの違いに起因しています。
日本の住宅は、先進国の中でも寿命が最も短いとされています。この短寿命の背後にはいくつかの理由が存在します。
上記の要因が、中古住宅をメンテナンスして住み続けるよりも新築を選ぶ傾向を生み出し、日本の住宅寿命を短くしてきたと言えます。
しかし、近年では少子高齢化が進行し、環境保護意識が高まっており、既存の住宅を大切にする考え方が浸透しつつあります。
そのため、海外の長寿命住宅のアプローチが参考にされています。
実際に欧米では、適切なメンテナンスとリフォームを受けた住宅は新築住宅よりも高い資産価値を持つとされ、多くの人が住宅購入時に中古住宅を
選びます。
海外でのリフォームの実態を見ると、国土交通省住宅局の資料(2011年)によれば、住宅投資に占めるリフォームの割合は日本が27.9%に対して、
イギリスは57.3%、フランスは56.4%、ドイツは76.8%となっています。また、費用面では日本の倍以上がリフォームに費やされています。
文化的に、ライフサイクルやライフスタイルが変化する際に、適切な住宅に住み替えることが一般的であり、その際に住宅の価値を高く保つために
メンテナンスとリフォームに対する意識が高まっています。特にイギリスでは、家を次世代に引き継ぐことを前提にリフォームや修繕をすることが
義務付けられており、築200~300年の住宅は珍しくないとされています。
海外の住宅は、耐火性や耐震性が高く、修繕が容易な設計が多いようです。ただし、長寿命を持たせることを優先しているわけではありません。
例えば窓枠は、日本ではアルミサッシが主流ですが、海外では木製の窓枠が使われています。これらの窓枠は腐食のリスクがあるものの、見た目や風合いを重視する人々によって定期的に塗装され、使い続けられています。
また、外壁には漆喰壁や土塗り壁などの「塗り壁」が選ばれており、左官職人の手仕事による独特の仕上がりを求める人々が多いのです。
家の外観の汚れやヒビが気になる際には、家族全員で協力して塗装し直すことが行われ、家の成長を楽しみ、次世代に受け継いでいくのが一般的です。
日本の住宅も、長く寿命を持たせるために定期的なメンテナンスが必要です。
新築から10年、20年と、家を大切にしていくことで、30年、40年と価値を保ち、思い出を積み重ねていくことができます。