外壁タイルは通常、20〜30年の耐久性があると言われていますが、経年劣化を避けることは難しく、定期的な点検と補修が必要です。特にタイル外壁に見られる「浮き」という問題については、「ピンニング」と呼ばれる補修方法が一般的です。
タイルは美しさと高い耐久性を兼ね備えた優れた外壁材料ですが、太陽の熱、気温の変動、地震、風圧などの自然の影響を受けて劣化します。タイル外壁でよく見られる問題は、浮きや割れです。これらの症状があると、雨水が内部に侵入し、タイルが剥がれるリスクが高まります。 これらの問題を放置すると、徐々に建物の構造を損傷させ、建物の寿命を短縮する可能性があります。さらに、タイルが落下すると、人身事故につながる危険性も考えられます。したがって、10〜15年ごとにタイルの浮きや割れ、雨漏りなどの点検を行い、適切な補修を行うことが重要です。タイルのメンテナンスと補修には以下の方法があります。
タイル専用の薬剤を使用して、美観を回復しにくい汚れを取り除きます。これは酸洗いとも呼ばれます。
タイル自体には手を加えず、目地のみを補修して防水性を回復させることがあります。
タイルに浮きや割れがある場合、タイルの張替えが行われます。これにより外観を回復し、落下を防ぐことができます。
タイル外壁は、躯体コンクリートの上に下地モルタルを介してタイルが配置されています。タイルだけでなく、下地モルタルが浮いている場合、通常は「アンカーピンニング工法」を使用して補修が行われます。 この方法は、アンカーピンと高性能のエポキシ樹脂を使用してタイルを固定するもので、樹脂を注入することで浮いている面積を抑え、耐久性を回復させることができます。また、地震時にタイルが落下するリスクを軽減する役割も果たします。この方法はタイルの張替えに比べて工期が短く、費用を節約できる利点があります。また、色の違いによる視覚的な不均一さも解消されます。 タイル外壁では、外見上問題がなくても、内部で剥離が進行していることがあるため、定期的なプロの点検を受け、建物の寿命を延ばし、周囲の安全を確保することが重要です。
〈アンカーピンニング工法の手順〉
テストハンマーなどで打診し、音の違いで浮きの状況を確認して改修をする範囲を決定します。
アンカーピンの位置と本数を決め、穴を開ける目地部分にマーキングをしていきます。位置と本数は施工者の考えにより多少異なりますが、剥がれ落ちる危険性を低くするための規定をベースにします。
コンクリート用ドリルを使い、アンカーピンを固定するための穴をマーキングした部分に開けていきます。構造体コンクリート30mm 程度の深さに達するまで深く開けます。
ブラシやエアーダスター等で穴から切粉などを取り除き、きれいにします。
注入材であるエポキシ樹脂を混ぜ練ります。
開けた穴にエポキシ樹脂を充てんします。一番深い場所から埋めていきます。
アンカーピンを挿入します。このとき、気泡が入ると固定する力が弱まってしまうので注意をします。
パテ状エポキシ樹脂で表面を整え、仕上げます。
樹脂が硬化するまで養生をして、雨や衝撃から守ります。夏は15 時間程度、冬は24 時間程度養生をします。
注入部以外に付いた材料は、除去しきれいにします。その後、テストハンマー等で打診して注入状態を確認します。 タイル外壁では、目視で問題がなくても、内部で剥離が起きていることは珍しくありません。 定期的に点検を受け、必要に応じてメンテナンスを受けましょう。