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マンション等の大きな建物の改修について

みなさんは、マンションなどが足場で囲まれているのを見かけたことがあるでしょうか?これらの建物では、住民たちが快適に住み続けられるように、さまざまな工事が行われています。
今回は、改修工事と修繕工事の違いについて詳しく説明し、また、具体的な塗装工事に焦点を当ててみたいと思います。

「修繕」と「改修」は異なる意味を持つ用語です。

国土交通省は、高層マンションなどの建築物に関するガイドラインを公開しており、その中で「修繕工事」と「改修工事」について次のように定義されています。

【修繕工事】

・建物の各部分が劣化し、性能や機能が低下している場合に行われる。

・部材や設備の劣化した部分を修理または交換し、建物全体またはその一部の性能や機能を実用的な水準に回復させる。

・一般的には、建物が建設された時点の性能にまで回復させることが目標とされる。

【改修工事】

・修繕工事に加え、建物の性能を向上させるために変更を加える工事。

・適切に実施すれば、建物の物理的な老朽化を防ぐだけでなく、陳腐化も防ぐこともできる。

要するに、修繕工事は「回復工事」であり、改修工事は「性能向上のための変更工事」です。

修繕工事では、一般的には外壁補修、鉄部の塗装、給水管および排水管の交換などが行われます。これらの工事は、建物が経年劣化するたびに必要となるものであり、2回目以降の工事でも実施されます。一方、改修工事では、修繕工事の範囲に加えて、バリアフリー化のために段差の撤去や手すりの設置、防犯性を向上させるためのフェンスの増設、安全性を高めるための廊下への防滑シートの設置などが行われたりします。

建物の築年数に応じて工事の種類を選ぶことが重要です。新しい建物では修繕工事が主要な役割を果たしますが、一定の年数が経過した場合、改修工事が必要となります。なぜなら、技術や設備の進化により、新しい建物に比べて古い建物は居住の快適性が低下し、さらには資産価値が下がる可能性があるからです。

塗装工事の重要性と活用方法

塗装工事は、建物の美観を保つだけでなく、保護と耐久性の向上にも貢献する重要な役割を果たします。建物を長寿命に保つためには、塗装工事は不可欠です。一般的に、以下のような領域で塗装工事が行われます。

◆鉄部の塗装◆

例:鉄骨階段、玄関の扉と枠、非常階段の扉、メーターボックスの扉、消火栓ボックスなど

鉄部は適切に塗装されていれば、錆びることはありません。しかし、経年劣化や日常の振動などにより、塗膜にひび割れが生じると、錆びの発生につながります。これにより、錆びが広がり、鉄部自体の腐食が進行する可能性があります。腐食が進行すると、塗装だけでは修復できず、鉄部の交換が必要となります。したがって、鉄部の塗装は、大規模な工事が必要な場合だけでなく、劣化状態に合わせて定期的に行うべきです。一般的なサイクルはおおよそ5年です。

◆外装◆

例:外壁、屋上など

外壁はひび割れやタイルの浮きなどの修理工事、外壁の塗装、シーリングの交換、屋上の防水工事などが行われます。

外壁塗装は、建物の構造部分を紫外線や雨水から保護する役割を果たすだけでなく、外観の美しさと資産価値を維持し、入居率を向上させるのにも寄与します。さらに、修理工事を行うことで、建物の安全性を高めることも可能です。

一般的な塗料の選択肢には、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料などがありますが、機能性や特性に合わせて選択することが重要です。低汚染性、防カビ、防藻、防苔などの機能的な塗料も考慮に入れるべきです。

◆共用部◆

例:エントランス、共用廊下などの床と天井

マンションの共用部は外部の環境に晒されているため、劣化が進行しやすい場所です。塗装の退色や剥がれが一般的であり、これにより建物自体の耐用年数が短くなり、住人や訪問者からの印象が悪くなる可能性があります。そのため、共用部の塗装は定期的に行うべきです。

 

大規模修繕工事は通常、12年に1度行われることが一般的です。修繕工事を委託する際には、管理会社、コンサルタント、大手ゼネコン、専門の工事業者など、さまざまな選択肢があります。工事の前に事前調査や建物の診断を受け、慎重に相談し、工事の内容とタイミングを決定することが重要です。