外壁塗装で使う塗料には「水性塗料」「油性(溶剤)塗料」があります。
「え、水性?外壁塗装に使えないでしょ!」と思う方は多くいらっしゃると思います。
みなさんきっと、「名前書きをするときは、水性ペンではなく、落ちない油性ペンで!」
といった使い分けをしていると思うので、水性の塗料と聞くと「長持ちしないのでは?」と疑問を持つと思います。
そこで今回は、水性塗料と油性(溶剤)塗料についてお話します。
以前、お伝えした通り、塗料には種類があります。
例えば、主流のシリコン系塗料、耐用年数に優れたフッ素系塗料、
そして近年では、ラジカル塗料、光触媒塗料とった多機能塗料もあります。
これらの塗料をさらに細かくすると、水性と油性に分けることができます。
「水性シリコン塗料」「油性シリコン塗料」といった言い方をします。
缶に入った塗料を見たことはありますか?
塗料は、「液状」ですが、「液体」ではありません。
施工前には決まった濃度に薄めてから塗布します。この薄める液体が何かで水性と油性に分かれます。
その液体とは「水」と「有機溶剤(主にシンナー)」です。
・水性塗料…水を使う
・油性塗料…有機溶剤を使う
こうした違いから、「油性塗料」を職人間では「溶剤塗料」と言うことがよくあります。
水性塗料では、水分が蒸発します。一方、油性塗料ではシンナーが揮発します。
現場で特有のニオイがある場合、油性塗料を使っていると考えられます。
昔はかなりキツイにおいでした。近年はそこまで不快なにおいはしませんが…。
ニオイのことからもわかるように、油性塗料は体に良いとは言えません。
そこで、健康被害や環境被害の観点から「VOC排出量の少ない水性塗料」はつくられました。
※VOC(揮発性有機化合物)とは、Volatile Organic Compounds)の略称。
シックハウス症候群などの健康被害や、大気汚染などの環境被害を引き起こす原因物質のひとつとされています
※シックハウス症候群(Sick House Syndrome)とは直訳すると「病気の家、症候群」ということになり、
“居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅においてみられる健康障害の総称”を意味します。
シックハウス症候群の代表的な原因は、建材や家具などに含まれる化学物質が発散する有害なガスです。
・液性なので、施工しやすい
・油性塗料に比べると、ニオイが少なく、安全性が高い
・以前は耐久性能で油性塗料に劣ったが、今は性能が上がり、ほとんど変わらない
・特にモルタル壁での吸い込みがよく、浸透するのでひび割れの補強ができる
・マットに近い、落ち着いた光沢に仕上がる
・鉄などの金属の塗布は向かない
・油性塗料に比べて若干価格が安い
・気温が低いなど気候によっては施工できない場合がある
・塗料の密着性が高く、強い塗膜がつくれる
・美しいツヤがでる
・乾燥が早い
・においがある。特に夏の施工現場ではにおいが強い
・サイディング壁、金属サイディング、トタン壁におすすめ
・付帯部分に最適
・有機溶剤を使用するため、水性塗料に比べると価格が高い
・有機溶剤を使用するので、職人はしっかりと管理しなければいけない
気になるのは「水性と油性、どっちの塗料がいいの?」ですよね。
答えは、一長一短あるので、絶対にこっち!という判断はできません。
信頼できるプロに相談し、施工箇所に合わせて使い分けるのが賢い方法でしょう。
ただ私は、世の中の流れは、水性塗料に向かっていくのではないかなと思っています。
年々機能性が高まり仕上がりがよくなっていることに加え、私たちの体にやさしく、環境にもやさしい…
そんな塗料を使った施工を増やして、多くの方に安心も届けていくのは、私たち外壁塗装職人の役割になっていくはず、そう思っています。